2014年4月24日木曜日

オバマ来日   首脳会談    先読み


オバマ・安倍首脳会談を吹っ飛ばした読売新聞のオバマ単独インタビュー

天木 直人 | 外交評論家


オバマ大統領の国賓訪日を目前にして、きょう4月23日の読売新聞が大スクープを掲載した。それは訪日を前にして行われたオバマ大統領に対する独占書面インタビューの全文掲載である。そこには今度の日米首脳会談で取り上げられると思われる主要問題のすべてに関するオバマ大統領の考えが述べられている。一言でいえばこういうことだ。すなわち安倍首相が一番こだわる尖閣問題に関する米国の日本防衛義務について、明確に次のように述べている。「・・米国の政策は明確であり、尖閣諸島は日本の施政下にあり、それゆえに、日米安全保障条約第5条の適用範囲にある。そして我々は、これらの島々の日本の施政を阻害するいかなる一方的な試みにも反対する・・・」。これは一見すれば米国の日本支持の表明のように見える。 安倍首相もメディアも、これを大きく取り上げて日米同盟強化の証だとはしゃぐだろう。しかし、これはすでに米国が従来から繰り返し表明してきたことだ。目新しいことは何もない。
その一方でオバマ大統領はそのインタビューの中で、日本に対し、集団的自衛権の行使容認を歓迎し、普天間移設を求め、TPP合意の重要性を説き、北朝鮮の核を認めない方針を伝え、それらに対する日本の協力を迫っている。
しかし日本にとって重要な事は、米国が尖閣は日本の領土であることを明確に表明し、その日本の領土を中国が武力もしくは武力の威嚇で変更しようとした場合、米国は日米安保に基づいて日本の為にこれを阻止するとオバマ大統領が明言するかだ。それを安倍首相がオバマ大統領に迫ることができるか、である。残念ながら安倍首相にはその度量も覚悟もない。
かくして安倍首相は今度の日米首脳会談で日米同盟強化という「おまじない」と引き換えに、日本経済や日本国民の暮らしも、日朝国交正常化も、沖縄住民の基地反対の声も、すべて米国に差し出すことになる。もはや日米首脳会談など不要だ。この読売新聞のインタビューがすべてだ。それにしても米国に譲歩させられて終わるのは、これまでのどの政権も同じだが、戦後レジームを変えると大見得を切る安倍首相の譲歩ほど屈辱的な事はない。安倍首相との日米首脳会談の直前に読売新聞にこのような書面単独インタビューに応じるオバマ大統領は、頭から安倍首相を馬鹿にしているということだ。安倍首相の応援団長であるナベツネの読売新聞が安倍首相に恥をかかせたことになる。きょうの読売新聞のオバマ大統領単独書面インタビューは歴史に残る衝撃的な大スクープである(了)

天木 直人 外交評論家
2003年、当時の小泉首相に「米国のイラク攻撃を支持してはいけない」と進言して外務省を解雇された反骨の元外交官。以来インターネットを中心に評論活動をはじめ、反権力、平和外交、脱官僚支配、判官びいきの立場に立って、メディアが書かない真実を発信しています。主な著書に「さらば外務省!」(講談社)、「さらば日米同盟!」(講談社)、「アメリカの不正義」(展望社)、「マンデラの南アフリカ」(展望社)。



http://bylines.news.yahoo.co.jp/amakinaoto/20140423-00034727/

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