2013年9月24日火曜日

玄米

玄米

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玄米
玄米、長粒種、生
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー1,548 kJ (370 kcal)
炭水化物77.24 g
- 糖分0.85 g
- 食物繊維3.5 g
脂肪2.92 g
- 飽和脂肪酸0.584 g
- 一価不飽和脂肪酸1.056 g
- 多価不飽和脂肪酸1.044 g
タンパク質7.94 g
- トリプトファン0.101 g
- トレオニン0.291 g
- イソロイシン0.336 g
- ロイシン0.657 g
- リシン0.303 g
- メチオニン0.179 g
- シスチン0.096 g
- フェニルアラニン0.41 g
- チロシン0.298 g
- バリン0.466 g
- アルギニン0.602 g
- ヒスチジン0.202 g
- アラニン0.463 g
- アスパラギン酸0.743 g
- グルタミン酸1.618 g
- グリシン0.391 g
- プロリン0.372 g
- セリン0.411 g
水分10.37 g
アルコール0 g
ビタミンA相当量0 μg (0%)
- βカロテン0 μg (0%)
- ルテインおよびゼアキサンチン0 μg
ビタミンB10.401 mg (31%)
ビタミンB20.093 mg (6%)
ビタミンB35.091 mg (34%)
パントテン酸(ビタミンB51.493 mg (30%)
ビタミンB60.509 mg (39%)
葉酸(ビタミンB920 μg (5%)
コリン30.7 mg (6%)
ビタミンB120 μg (0%)
ビタミンC0 mg (0%)
ビタミンD0 IU (0%)
ビタミンE1.2 mg (8%)
ビタミンK1.9 μg (2%)
カルシウム23 mg (2%)
鉄分1.47 mg (12%)
マグネシウム143 mg (39%)
マンガン3.743 mg (187%)
セレン23.4 μg (33%)
リン333 mg (48%)
カリウム223 mg (5%)
塩分7 mg (0%)
亜鉛2.02 mg (21%)
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
玄米(げんまい)とは、果実である(もみ)から籾殻(もみがら)を除去した状態[1]で、また精白されていない状態のである[2]。自然乾燥の場合、籾殻がなくとも、種子としての機能を失っておらず、播種(はしゅ)すればが出るが、市販のほとんどの玄米は加熱乾燥されているので、死んでいて発芽しない可能性がある。
精白とは、玄米から(ぬか)を取り除き白米にすることである。玄米は、白米よりビタミンミネラル食物繊維を豊富に含むため[3]健康食品として用いられている。

概要[編集]

玄米の「玄」は、「暗い」または「色が濃い」という意味で、白米に対して色のついたお米という意味である。ベージュ色または淡褐色である。
普通の炊飯器で炊くと、消化が悪く、食感も悪くてボソボソになる。玄米は精白によって白米と米糠に分けてそれぞれ販売され、米穀店の店頭に玄米が置かれることはまれだった。第二次世界大戦前から健康食として玄米食の支持者がいたが、近年は玄米がふっくらと炊ける圧力鍋が普及したことで、味も好まれるようになってきた。現在では、玄米が選べる外食店もあり、健康のためでなく味で玄米食をしている人も多い。玄米の炊飯に対応した炊飯器も市販されている。また、米糠の繊維ダイオキシン類の排泄作用が強いため、カネミ油症事件でも有効な治療法の一つとして考えられている[4]

農薬等の残留物について[編集]

農薬の部分に残留する可能性が白米よりも高いとして、玄米食には無農薬、または減農薬栽培の米が勧められることがある。ただし、残留農薬検査は玄米を対象として行われており、農薬の残留は通常、定められた使用方法を遵守する限り問題とされない。また重金属が糠に残りやすいと言われることもあるが、玄米段階でカドミウム等の重金属の残留が確認された米は、工業用糊の原料に売却されるなど、重金属は白米部分にも残留する。

容量と質量[編集]

生玄米1合約180ml → 約156g

栄養[編集]

の部分にキレート作用が強いフィチン酸を多く含む。フィチン酸はミネラルと結合してフィチン酸塩になる。研究ではミネラルが著しく少ない食事において、フィチン酸が大量の場合にミネラルの吸収を阻害するが、通常の食事では問題がない[5]。この作用は必須ミネラルの摂取量が著しく低い開発途上国の子供のような人々には好ましくない[6]
玄米にはビタミンB1が白米よりも多く含まれている。現代のように副食をふんだんに摂取する食生活では、肉や緑黄色野菜からビタミンを十分に摂取できるが、かつて米・漬け物・味噌汁だけの食事が中心の頃は、ビタミン不足が問題となった。江戸時代以前は米飯は玄米を炊いたものが普通であり[要出典]、特に農民の多くは雑穀や芋や野菜を混ぜたかて飯を食べていたため、脚気とは無縁であった。しかし、玄米を炊くには白米よりも時間がかかり多くの燃料を必要とするため、を買わなければならない都市生活者にとっては、白米の方が都合が良かった。このような経済的事情と、白米の食味が喜ばれたことから、江戸時代以降の都市生活者には白米を炊いた飯を常食する習慣が普及した。副食を満足にとらずに白米のみを大量に摂取する当時の庶民の食習慣から、江戸では脚気が流行し「江戸患い」と呼ばれた。脚気は、明治時代に白米を食べる習慣が地方にも及ぶに至って全国的な問題となり、昭和初期まで続いた。
明治時代には、石塚左玄によって提唱された玄米菜食による食養が実践され、食養会という食養実践団体ができた。これはマクロビオティックとして継承され欧米でも普及し、アメリカでは医療の歴史として国営のスミソニアン博物館に収録されることとなった。スミソニアン博物館には玄米も資料として収録されている[7]。日本綜合医学会[8]にも玄米菜食による食事療法が受け継がれている。
昭和初期以降、医師二木謙三が玄米を完全食と呼び、健康のために玄米食を普及することに努めた。 1943年(昭和18年)頃には大日本玄米連盟があり、1万人以上が加盟していた[9]。 1942年(昭和17年)以降、大政翼賛会で国民を玄米に復帰させるとして議題となり、時の首相であった東條英機が玄米を常食していることも伝わり世論は玄米に傾いた[10]が、川島四郎ら軍の栄養学者は、玄米の消化が白米に劣ること、炊飯に要する燃料や調理時間が増加することを指摘して、玄米食に強く反対した。伝染病研究所の研究者らが玄米食について研究し12月の「医界週報」での報告では、玄米食によって小食になった上、下痢も減り、仕事の耐久力が上がり、医療費は1/17に減ったが、炊飯に要する燃料は増加したと伝えたので、栄養学者も認めざるを得なくなった[11]1945年(昭和20年)の「食生活指針」で、食べることを推奨された。
東洋医学発祥の地とされる中国では、玄米を特に有用視しておらず、素材として玄米を用いた中華料理ないし薬膳料理は一般的ではない。これは東洋医学の理論が、大陸性の気候風土と漢民族の体質を前提としているため、東洋医学の理論と日本人の体質とが必ずしも合致しない一例とも言える。[要出典]
1990年前後から、全粒穀物が健康に貢献するという科学的な根拠が蓄積されてきたため、各国の食生活指針として推奨されるようになった。
食品に含まれる栄養素[3]
(食品 100 g あたり)
食品名玄米精白米
エネルギー350kcal356kcal
たんぱく質6.8g6.1g
脂質2.7g0.9g
炭水化物73.8g77.1g
ナトリウム1mg1mg
カリウム230mg88mg
カルシウム9mg5mg
マグネシウム110mg23mg
リン290mg94mg
2.1mg0.8mg
亜鉛1.8mg1.4mg
0.27mg0.22mg
マンガン2.05mg0.80mg
β-カロテン当量1mcg0
ビタミンD(0)(0)
ビタミンE1.4mg0.1mg
ビタミンK(0)0
ビタミンB10.41mg0.08mg
ビタミンB20.04mg0.02mg
ナイアシン6.3mg1.2mg
ビタミンB12(0)(0)
葉酸27mcg12mcg
パントテン酸1.36mg0.66mg
ビタミンC(0)(0)
食物繊維3.0g0.5g

利用[編集]

玄米を炊いたりにしたりすると、胚乳は膨らみ、糠層は膨らまないので破れる。
圧力釜で炊けば、糠層も消化の良い分子になり、食感も良く、日本人好みの粘りがあるように炊ける。 といっても、白米に比べれば食物繊維が多いため消化が悪く、胃腸が弱っている場合は消化不良になることもある。
圧力釜が出現する前と同じく一晩水に浸けて吸水させた後、普通の炊飯器で炊くことも可能である。トウモロコシの穀粒の皮と同様に糠層の消化が悪く、吸水時間が短ければ食感も悪くぼそぼそになるが、12時間以上浸けて、分量の1.5倍ぐらいの水で炊くと普通に炊けるようになる。 発芽玄米であれば、玄米炊きに対応していない炊飯器でもおいしく炊ける。最近の炊飯器は様々な炊飯メニューを持っており、メニューを選べば玄米炊きも簡単に選べるので白米を炊くように玄米を炊くことができる。
農産物検査法による公示の農産物規格規程で、籾の混入が、玄米は一等で0.3%以下と定められている。茶碗一杯3000粒として9粒まで許容されている。白米は、0.0%と定められている(つまり最大で0.04%であり、茶碗一杯3000粒として1.2粒)。 この規格は、白米の原料としてのものといえ、玄米食用としての公的規格や業界団体の規格は無いので、玄米食用として販売されているもの以外は、籾の混入が多い。 標準の30kg袋入りは、玄米食用と断りのない限り、白米の原料である。少量で販売されているものは、玄米食用と家庭用精米機による自宅精米用がある。発芽玄米は玄米食用として販売される。
レトルトの粥や、シリアル食品などにも加工される。発芽玄米では、白米と同様、無菌パックのご飯も市販されている。近年では、玄米を用いた健康飲料である「ライスドリーム」がアメリカで生み出されている。

白米との比較[編集]

圧力釜で炊けば栄養成分も味の成分も多く味わいが豊かで、食感も糠層がプチプチとした歯ざわりを持ち、白米の飯には無いおいしさがある。砂糖における黒砂糖上白糖の違いと同様である。
米は、保存性から玄米か籾で貯蔵される。日本では玄米で貯蔵する。 精白後の白米は、皮をはがれた状態であり、日数の経過と共に酸化等により劣化していくので、少しずつ購入する方が新鮮である。これに対し、発芽玄米でない普通の玄米は時間経過に対する劣化が少ない。玄米も白米も、低温貯蔵がより望ましい。害虫を防ぐには密閉容器が良い。白米を好む虫と玄米を好む虫は異なる。
玄米は、白米より農薬が多く残っている可能性があるため、減農薬・無農薬栽培のものが奨められる場合がある。

玄米に発生する害虫[編集]

一般に玄米は、白米より大きな単位(30kgの紙袋が多い)で販売されているため、保存中に黒っぽい水玉模様のついた蛾やそのいもむしがわいて大騒ぎをすることがある。これはノシメマダラメイガという昆虫で、気持ちは良くないが、とくに有害でもないので、精米して食べればよい。ただ、東京以西の暖地では、梅雨時になれば必ず発生すると言ってもいいほどなので、時々天気の良い日に米びつと中身を陰干ししたり、米びつの中にたかのつめ(赤唐辛子の乾燥品)を入れておくと、発生を予防することができる。

脚注[編集]

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  1. ^ 厳密には、玄米が果実に相当する。イネ科の植物の多くと同様、イネの花は小穂という鱗片の重なった状態で開花し、その鱗片に包まれて成熟し、それをかぶった状態で落下する。この鱗片が籾殻に当たる。
  2. ^ 日本では「玄米及び精米品質表示基準」(平成12年3月31日農林水産省告示第515号)第2条によって「もみ(籾)から、もみ殻(籾殻)を取り除いて調製したもの」と定義されている
  3. ^ a b 五訂増補 日本食品標準成分表 (文部科学省)
  4. ^ 小栗一太、赤峰昭文、古江増隆 『油症研究 30年の歩み九州大学出版会、2000年6月。ISBN 4-87378-642-8。序文、268-269頁。
  5. ^ 予想される副作用 - IP6とイノシトール
  6. ^ Hurrell RF. "Influence of vegetable protein sources on trace element and mineral bioavailability." J Nutr. 133(9), 2003 Sep, pp2973-7. PMID 12949395
  7. ^ Health Food: Macrobiotic Brown Rice National Museum of American History, Division Medicine and Science (英語) (Smithsonian Institution)
  8. ^ 特定非営利活動法人 日本綜合医学会
  9. ^ 荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。160頁
  10. ^ 荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。157頁。
  11. ^ 荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。160-161頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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