2013年10月1日火曜日

ルネサスの“実質国有化”が完了

ルネサスの“実質国有化”が完了

EE Times Japan 9月30日(月)20時42分配信
ルネサスの“実質国有化”が完了
画像:ITmedia
 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2013年9月30日、政府系ファンドである産業革新機構と顧客企業8社から第三者割当増資に伴う払い込みが完了したと発表した。これにより、政府が約9割出資する産業革新機構がルネサスの発行株式の69.16%を掌握したため、ルネサスは実質的に国有化された。

 9月30日に払い込みが完了した出資の内訳は、産業革新機構が約1383億5000万円、トヨタ自動車が50億円、日産自動車が30億円、ケーヒンとデンソーがそれぞれ約10億円、パナソニックとキヤノン、ニコンがそれぞれ約5億円、安川電機が1億5000万円で、合計約1500億円。今回の第三者割当増資を表明した2012年12月10日時点の公表内容(関連記事:ルネサスの官民支援策、産革機構とトヨタら取引先8社が合計1500億円出資)通りに支払いは行われた。

 今回の第三者割当増資は、(1)マイコンの先端プロセス開発および開発基盤の標準化に400億円、(2)生産(試作・量産)に用いる設備に200億円、(3)自動車向け半導体のソリューション事業に400億円、(4)産業向け半導体のソリューション事業に400億円、(5)経営基盤再構築のための開発に100億円を、それぞれ投資する目的で実施された。

期限ギリギリでの払い込み

 出資金の支払期限は、2013年9月末日と設定。当初は新年度がスタートする2013年4月や、2013年6月の通常株主総会前にも払い込みが完了するとみられたが、結果的には、払い込みは遅れ、期限ギリギリに完了した。

 ルネサスは、今回の第三者割当増資実施を公表した2012年12月以後、経営体制の刷新やリストラ策を実施。2013年2月22日には、社長に鶴丸哲哉氏が就任するなど経営陣を刷新した(関連記事:ルネサスが経営陣を刷新、新社長は震災からの早期復旧で活躍した鶴丸哲哉氏)。その上で、2013年6月に前オムロン会長の作田久男氏を会長兼CEO(最高経営責任者)に招聘(しょうへい)。その直後から、結果的にはブロードコムに売却することになるスマートフォン向けSoCを展開する子会社ルネサス モバイルの清算を決定(関連記事:ルネサス モバイル事業を清算、買い手見つからず/潰れるはずだったルネサスモバイル、ブロードコムが買収)した他、経営再建に向けて大きな重荷になっている山形・鶴岡工場に関して、それまでの売却方針から、“2~3年以内に閉鎖”に方針転換(関連記事:鶴岡工場の閉鎖を決定したルネサス作田会長、「まだ人・モノが多い」)するなど、リストラ策を一層加速させた。これらの経営再建に向けた動きは、産業革新機構など新たな出資者が関与する形で実施されてきたとみられ、今回の払い込み完了で、ルネサスの経営方針が大きく変わる可能性は低い。

[竹本達哉, EE Times Japan]
最終更新:9月30日(月)20時42分

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