みずほ銀行が暴力団関係者など反社会的勢力との取引を放置し、27日金融庁から業務改善命令を受けた。発覚したのは、ドラマ「半沢直樹」で話題になった「金融庁検査」だ。そのうえ背景には、これまた「半沢直樹」を彷彿(ほうふつ)させる“派閥抗争”があったなんて囁かれている。

 問題となったのは、信販会社を介した自動車販売などの提携ローン。昨年12月、金融庁が検査に入って調べたところ、反社会的勢力との取引が230件、総額2億円もあった。行内では、2年前にその存在を把握していたのに、契約を打ち切らなかったという。
「信販会社を経由したローンでは、まず信販会社が審査し、銀行は事後的に行うので、後になって反社とわかるケースがある。今回、金融庁は3メガバンクを一斉検査していて、みずほだけでなく、三井住友や三菱UFJでも同様の問題取引があったようです。ただ、みずほはその数が230件と突出して多かった。さらにそれを2年も放置していたため、業務改善命令になりました」(金融庁関係者)


 で、なぜみずほだけが突出した数の問題取引を放っておいたのか、というわけだが、そこでウワサされているのが、旧富士銀と旧第一勧銀の派閥争いだ。

「みずほグループの信販会社はオリエントコーポレーション(オリコ)ですが、もともと旧一勧との結びつきが強い。一方、みずほでリテールを担当する個人ユニット長の常務執行役員は旧富士のエース。今回、役員は責任を取らされる可能性がありますが、役員が旧富士だから、行内で比較的肩身の狭い立場に置かれている旧一勧系が、問題取引をわざと放置したんじゃないかというのです」(内部事情に詳しい金融ジャーナリスト)

 旧一勧といえば、1997年に総会屋への利益供与事件を起こしているし、3行(富士、一勧、興銀)で対等合併したみずほは、行内の融合が一番進んでいないといわれてきた。今年7月にようやく「みずほコーポ」と「みずほ銀」が合体し、新生みずほ銀行としてスタートしたばかりなのに、出はなをくじかれた。傷は深い。