2014年7月17日木曜日

【デキる人の健康学】生活様式と糖尿病、脳卒中、がん、認知症の関連性

【デキる人の健康学】生活様式と糖尿病、脳卒中、がん、認知症の関連性

産経新聞 7月16日(水)11時30分配信
 英国カーディフ大学公衆衛生学のピーター・エルウッド博士らの研究チームは南ウェールズ・カーフィリー在住の45~59歳の男性2,235人の生活様式を35年間にわたり追跡調査し、生活様式と糖尿病、脳卒中、がん、認知症の発症率や認知機能の維持との関連性を検討した。調査の対象となった健康を保つための5つの生活様式は以下の質問内容により調査された。(1)BMI(体重/身長x身長)を18~25 Kg/m2に保つこと、(2)1日に3皿以上の野菜・果物を摂取して脂質の摂取を総カロリーの30%以内に抑えること、(3)一日に2マイル(3.2km)以上歩くこと、または1日に10マイル以上自転車に乗ること、あるいは定期的にスポーツ(強度の運動)をしていること、(4)喫煙していないこと(禁煙した人を含む)、(5)アルコールは1日3杯以下で週に1日は休肝日をもうけることが調査された。

 調査の結果、これらの5つの生活様式のうち、4個以上が継続的に実践できていた男性は糖尿病の発症率が50%に減少、脳卒中が50%に減少、脳卒中の発症が約12年間遅いことが明らかとなった。

 総死亡率は60%も減少していたが、がんに関しては喫煙以外の因子と関連性を見いだせなかった。また、認知症の発症率は36%に減少、認知機能の低下も36%に減少していて、心血管系の疾患と認知症が関連することが示された。しかし、追跡した35年間に上記の5つの生活様式を維持できた人は全体の1%、4つ以上維持できた人は全体の5%に過ぎなかった。

 認知機能を保ち健康長寿を達成するためには、上記の5つの行動因子が重要であることはこれまでにも分かっていたが、この5つのライフスタイルを維持できている人は全体の1%に満たないことが35年におよぶ生活習慣の追跡調査から分かった。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。
最終更新:7月16日(水)11時30分

0 件のコメント:

コメントを投稿